ロータリーヘッドで基板診断
フローでの実装がリフロー化される方向になることで投資コストが1/5になるといわれており、昨今、車載関連会社でもリフロー技術を受け入れる傾向があります。また、ロボットによる実装ラインをリフローに切り替えることも可能といわれております。技術革新によって、今後の実装業界はリフロー化が進み、検査体制も見直されてきております。リフロー生産において、量産前にデジタルマイクロスコープでフラックス残渣、フィレットの光沢・質感、はんだの濡れ広がりを観ることで基板の不具合を事前に防ぐことが可能です。
ハイロックスのロータリーヘッドだからできる、正確無比。光学3D観察
一方向からの固定視野による観察の限界を超えて、対象物に直接触れることなく、360度視野の連続ライブ観察を可能にしたアダプタ“ロータリヘッド“。基板をステージにおいて、ピントを合わせるだけで、簡単に対象物の表情をとらえ、良否判定が行えます。基板生産ラインの初期段階での抜き取り検査を実施することで、生産ラインを調整し、不良率を下げることに繋がります。

実装技術アドバイザー 河合一男様の良否判定不具合例を以下で紹介させ頂きます。
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ケース1 ボイド
ボイドは破壊検査もしくはX線検査で無いと発見できない接合品質を劣化させるやっかいな不具合です。しかし、デジタルマイクロスコープで同じ基板上の不特定の場所のはんだ付け箇所を数カ所診ることでボイド発生を想定できます。
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フィレットはんだ部の光沢不足(白い)、
質感がざらついている -
フィレットはんだ部の光沢不足(白い)
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フィレットはんだ部の光沢不足(白い)
基板の右端、左端、中央にある部品のはんだ付け部でフラックスの劣化が観られるので、
基板全体にフラックスの劣化が発生していると想定できます。実際に実装部品を剥がしてみるとボイドが観られました。
原因/対策
プリヒートが長いため、フラックスが劣化している。⇒プリヒート時間を短くする。
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ケース2 フラックス残渣
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不良判定
フラックス残渣境界面が滑らかでなく、はんだボールが観られる。⇒フラックスが劣化している。
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良品判定
フラックス残渣境界面が滑らか。
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不良判定
フラックス残渣境界面が滑らかでなく、はんだボールが観られる。⇒フラックスが劣化している。
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良品判定
フラックス残渣境界面が滑らか。ただし、酸化したはんだ粒子のはんだボールが観られる。
原因/対策
コンベヤ速度(1.1m/min)が遅く、プリヒートが長くてフラックス劣化している。⇒リフロー装置の操作変更、プリヒート時間を短くするか、ファン(上部)の回転数を落とす。
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ケース3 フィレット表面の質感
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不良判定
フィレットが白く、表面がざらざらしている。⇒冷却が遅い
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良品判定
フィレットの一部が黒く観え、ほうきで掃いたような筋が確認できる。
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不良判定
フィレットが白く、表面がざらざらしている。⇒冷却が遅い。
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不良判定
フィレット表面に光沢があり、一部が黒く観える。
原因/対策
冷却が遅いことから、コンベアスピードが遅いといえる。⇒コンベアスピードを上げる。(プリヒート時間を短くする)
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ケース4 フィレットの光沢
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不良判定
フィレットに光沢が無い⇒フラックスが劣化している。
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良品判定
フィレットに光沢がある。⇒最後に冷却された部分に引け巣が見られる。
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不良判定
フィレットに光沢が無い。⇒フラックスが劣化している。
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良品判定
フィレットに光沢がある。
原因/対策
プリヒートが長いため、フラックスが劣化している。⇒コンベアスピードを上げて、プリヒート時間を短くする。
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ケース5 赤目がある
症状フラックス残渣の形状もよく、フィレット光沢も良好であるが、赤目がある。⇒濡れ広がりが少ない。
不良判定
原因/対策
メタルマスクのマスク開口が狭い。(はんだ量が少ない)⇒メタルマスクのマスク開口を広げることで適正なはんだ量となる。
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ケース6 レジスト被り
症状レジスト被り 基板不良
不良判定
原因/対策
基板不良⇒基板自体に対策を実施する必要がある。
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ケース7 はんだの粒子
症状はんだの粒子が酸化して未溶解で、かつフラックス劣化している。
不良判定
不良判定
原因/対策
プリヒートの時間が長い。⇒コンベアスピードを上げて、プリヒート時間を短くする。
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ケース8 フラックス内の残渣
症状フラックス内に残渣がある。⇒フラックスが劣化している。
不良判定
不良判定
原因/対策
プリヒート時間が長い。⇒コンベアスピードを上げて、プリヒート時間を短くする。
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ケース9 ホール上がり不足
症状基板熱が低いため、ホール上がり不足となっている。
不良判定
不良判定
原因/対策
はんだ槽への浸漬する面積が少ないことで熱不足が起きている。⇒基板をはんだ槽に浸漬させる。
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