電子部品、精密部品だけじゃない Ⅴ

この度、那珂町馬頭広重美術館様の作品調査へ参加させて頂きましたので、その様子を紹介させていただきます。

観察、撮影させていただいた作品はお客様が所蔵する歌川広重作≪東海道五拾三次之内 ⽇本橋≫(1834年頃)、 ≪五十三次名所図会 品川≫(1855年頃)、≪富士十二景≫(1834~1848年頃)、歌川国貞作≪楚連香≫(1818~1830年頃)になります。

歌川広重はモネやゴッホにも影響を与えたとされる江戸時代の人気浮世絵師になります。今回の作品調査では、和紙の観察、使用している染料、顔料などを拡大観察しました。

Landscape Of Inspection

今回の撮影に使用したスタンドは設置・調整が簡単で、レンズ位置をフレキシブルに調整できる大型スタンドになります。

また、レンズ先端に照明角度を微調できるライトシフトアダプタを備えた長作動距離レボズームレンズ(35~2500倍)で撮影しました。

Capture pictures

歌川広重が風景画家として決定的となった作品≪東海道五拾三次之内 ⽇本橋≫(1834年頃)を拡大観察しました。版画は絵師、彫師、摺師の手を経て完成になりますが、細い線を表現する彫師の技術、染料の調合など鮮やかな色を表現する摺師の技術を確認することができました。

マウスを絵にのせてみよう

照明を横から照射することで、和紙表面の凹凸が鮮明に観察できました。

プルシャンブルーと⻩⾊の顔料を調合して緑⾊を表現していることが分かります。

プルシャンブルーの35倍(上)、350倍(下)の画像です。和紙への顔料の乗り方、繊維への絡まり方がよく分かります。

照明を横から照射することで、和紙表面の凹凸が鮮明に観察できました。

プルシャンブルーと⻩⾊の顔料を調合して緑⾊を表現していることが分かります。

プルシャンブルーの35倍(上)、350倍(下)の画像です。和紙への顔料の乗り方、繊維への絡まり方がよく分かります。

歌川国貞≪楚蓮香≫(1818~1830頃)も観察しました。
こちらの作品は摺物と呼ばれる、通常の浮世絵とは違って販売目的では無い、愛好家たちがクオリティの高さを重視して作成させた木版画です。肉眼観察では、角度を変えると金属の光沢が見られましたが、 実際に拡大観察してみると金属粉を使っていることが確認できました。

マウスを絵にのせてみよう

銀色の50倍(上)、200倍(下)の画像です。金属の光沢がある金属粉が観察できました。

金色の金属粉が、繊維上に摺られているのが分かります。

銀色の50倍(上)、200倍(下)の画像です。金属の光沢がある金属粉が観察できました。

金色の金属粉が、繊維上に摺られているのが分かります。

歌川広重の肉筆画≪富士十二景 両国橋下≫(1834~48年頃)を観察しました。
絹地に描かれた作品になり、浮世絵版画と違い広重が直接描いた肉筆画となります。

マウスを絵にのせてみよう

墨だけでなく、赤い顔料も使われていることが分かりました。

赤い顔料の1000倍の画像です。非常に粒子が細かいことが分かります。

青色の50倍(上)、500倍(下)の画像です。500倍では顔料粒子が観察できます。

墨だけでなく、赤い顔料も使われていることが分かりました。

赤い顔料の1000倍の画像です。非常に粒子が細かいことが分かります。

青色の50倍(上)、500倍(下)の画像です。500倍では顔料粒子が観察できます。

同じ画帖に収録されている、
歌川広重の肉筆画≪富士十二景 江ノ嶋岩屋≫(1848~1854)。
両国橋と同じく絹地に描かれた作品で、
こちらの作品は肉眼で過去の修復痕が確認されていましたが、
拡大すると別の絹地で補修していることが分かりました。

マウスを絵にのせてみよう

織が異なる絹地を上から貼り付けて補修しています。3D計測により補修の様子が確認できました。

浮世絵版画では、青と黄色の色材を混ぜて緑色を表現していましたが、肉筆画である本作品では緑色の顔料粒子が使用されていました。

織が異なる絹地を上から貼り付けて補修しています。3D計測により補修の様子が確認できました。

浮世絵版画では、青と黄色の色材を混ぜて緑色を表現していましたが、肉筆画である本作品では緑色の顔料粒子が使用されていました。

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