量産現場における鉛フリーはんだ ~フリーはんだのリフロー化~

実装技術アドバイザー / 河合 一男

1. はじめに

最近、筆者のもとにはフローはんだのリフロー化の相談が増えているが、その大半は、フロー部品の温度コントロールができない、というものである。

この基本的な対策としてはやはり、温度プロファイルの作成見直し、ということになる。

従来の、規格化された温度プロファイル(JEITAの温度プロファイル)でのリフロー化が難しければ、はんだ付けの原理に戻す必要がある。

はんだ付けは、ロボット(手付けはんだ)はんだではプリヒートが1 秒から2 秒、フローはんだでは50 秒から60 秒、リフローでは数分、要求される。しかし、はんだを溶かすリフロー部は、はんだ溶けている状態であれば、フローと同じ5 秒以上接触していれば、はんだ付けが可能になる(もちろん、基板や部品などで変わる)。

工法によってプリヒートは異なるが、はんだと基板は同じ材料を使用しているので、リフロー炉で同じように熱供給を行う必要がある。

無駄なプリヒートはフラックスを劣化させてしまい、ぬれ性やボイドを発生させる恐れがある。また、過剰な熱供給は部品の耐熱性に影響を与えてしまうことになりかねない。

2. リフロー炉のヒータ操作

リフロー炉のヒータは、上部ヒータをすべてOFFにし、下部ヒータのみで基板を加熱すると、基板上面に搭載された部品と印刷されているはんだのフラックスを劣化させる心配がない。

なお、下部ヒータの温度設定は、基板のサイズ、厚み、材質、多層で異なるので、調整が必要である。

図1は、フロー、リフローの混載基板である。今回、この基板を用いて実験を行った。以下に、そのプロファイルを示す。

なお、この基板では、熱量の大きな部品は温度測定していない。この実験ではとりあえず後付けで対応した。図2に示したのは、図1 の基板の、表面の温度測定個所と、裏面の測定個所である。コンベア速度は0.3m/mとしている。

図3 のプロファイルは、下部ヒータのみで上部ヒータをOFFにした際のものである。コンベア速度は0.3m/mとしている。

図4のプロファイルは、図3のものに、併せて断熱カバーを使用したものである。コンベア速度は0.3m/mとしている。

図5 のプロファイルは、図4 のもののコネクタボディに、放熱治具を装着したものである。コンベア速度は0.3m/mとしている。

図6 のプロファイルは、図5 のもののコンベア速度を0.35m/mにしたものである。コンベア速度を変更することで熱量(温度)が変わるのである。

なお、それぞれの表にある、Achは基板表面を、Bchはトランスリードを、Cchは基板上面QFPを、Dchはフィルムコンデンサを、Echはコネクタボディである。

コンベア速度0.35m/m のEchは112℃、ファン回転数50HzでEchは243 ℃となった。

この結果のように、ファンの回転数や、コンベアの速度、及び、ヒータ温度などの変数を現場でコントロールすることが必要となる。

また、断熱剤の材質や、放熱材の材質・形状・サイズによって、部品温度が変わることがお分かりいただけるだろう。そのほかにも、使用はんだ(フラックス)の熱反応速度でも品質は変わってくる。

また量産時には各条件の見直し調整が必要になる。このように、基板設計ごとに対応する必要があるのである。

図1 フロー、リフローの混載基板
図2 基板表面・裏面の温度測定個所
図3 ①…下部ヒータのみ(上部ヒータはOFF)。
コンベア速度=0.3m/m(Ach=基板裏面、Bch=トランスリード、Cch=基板上面QFP、Dch=フィルムコンデンサ、Ech=コネクタボディ)

図4のプロファイルは、図3のものに、併せて断熱カバーを使用したものである。コンベア速度は0.3m/mとしている。

図5 のプロファイルは、図4 のもののコネクタボディに、放熱治具を装着したものである。コンベア速度は0.3m/mとしている。

図6 のプロファイルは、図5 のもののコンベア速度を0.35m/mにしたものである。コンベア速度を変更することで熱量(温度)が変わるのである。

なお、それぞれの表にある、Achは基板表面を、Bchはトランスリードを、Cchは基板上面QFPを、Dchはフィルムコンデンサを、Echはコネクタボディである。

コンベア速度0.35m/m のEchは112℃、ファン回転数50HzでEchは243 ℃となった。

この結果のように、ファンの回転数や、コンベアの速度、及び、ヒータ温度などの変数を現場でコントロールすることが必要となる。

また、断熱剤の材質や、放熱材の材質・形状・サイズによって、部品温度が変わることがお分かりいただけるだろう。そのほかにも、使用はんだ(フラックス)の熱反応速度でも品質は 変わってくる。

また量産時には各条件の見直し調整が必要になる。このように、基板設計ごとに対応する必要があるのである。

図4 ②…①の基板に断熱カバーを使用。コンベア速度=0.3m/m
図5 ③…②の基板のコネクタボディに放熱治具を使用。コンベア速度=0.3m/m
<参考資料>

資料提供 : アントム(株) 浅野 光一 氏
使用機器 : アントム(株) 製小型リフロー炉『UNI-6116』

図6 ④…③の基板のコンベア速度を0.35m/mにしている

テクニカルレポート一覧